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国際協力事業【特派員レポートVol.4】

「南太平洋大学ICTキャパシティビルディングプロジェクト」を担当して ~プロジェクトコンサルタント 福島和良

近そうで遠い国、フィジー

2009年まで成田からフィジーまでエアパシフィック航空の直行便が飛んでいましたが、今はグアム、インチョン、シドニーなどを経由し15-20時間程度を要する近そうで遠いイメージの国です。

1970年英国より独立、人口は80万人程度で約6割がフィジー系、4割程度がインド系。首都スバのあるビチレブ島を筆頭に大小330程度の島から構成され、大きさは四国程度の国土を有しています。

日本との時差は3時間あり、フィジーが先行しています。南半球にあるため日本とは夏冬が逆転して、この2月のタイミングは真夏で日中気温は30度程度になりますが、海に近いスバにいる限り海風と緑の森のおかげで、日本の夏を知っているものからすると、結構過ごし易いと言ったほうが正しい表現だと思います。

勤務先の南太平洋大学の敷地内を歩くと、南国の草花や果物がたくさん発見でき、自然の多様性を垣間見ることができます。

専門家プロフィール

【専門分野】
販売、マーケティング

ビジネスコースのスタートはラオス国立大学

実践ビジネスコースの講義様子

LJCビジネスコースの特徴

プロジェクトの背景

南太平洋大学(USP)は、1969年に地域島嶼国12カ国(フィジー、バヌアツ、ツバル、トンガ、トケラウ、ソロモン諸島、サモア、ニウエ、ナウル、マーシャル諸島、キリバス、クック諸島)が、それぞれ資金を拠出し共同設立した域内最高水準の国際高等教育機関です。

USPは、フィジーの首都スバの本校舎に域内各国から留学生を受け入れるとともに、加盟各国の学生に対し遠隔教育を実施しています(2008年度在校生数約1万人のうち40%が遠隔教育学生)。1998年には加盟国の遠隔キャンパス間を衛星通信経由で接続する遠隔教育ネットワーク(USPNet)を、オーストラリア及びニュージーランドと協調した我が国の無償資金協力によって構築しました。しかしながら、USPNetはネットワーク帯域が飽和状態で遠隔学生の学習に支障が生じており、パフォーマンスの向上が必要とされています。また、加盟各国の遠隔キャンパスに対し、本校との格差を減少するために、情報通信技術(以下ICT)を利用した遠隔学生の学習支援の促進が必要とされています。一方、ICT分野の人材育成について、産業界のニーズが高まり、よりプロフェッショナルな学士号コースを提供する必要性に迫られています。そうした背景のなか、我が国の無償資金協力により、現在大洋州におけるICTの中核施設となる「Japan-Pacific ICT センター」が建設され2010年7月に開所しました。学生へのICT教育提供の場にとどまらないICTに関する付加サービスを提供するために本センターの運用体制を確立し、大洋州地域全体に裨益するICT中心施設として活用するための支援が求められています。

このような背景の下、本技術協力プロジェクトが2010年2月にスタートしました。

現在の取り組み

●学士号プログラムの開発支援

大洋州地域でもニーズが増大しているクラウドコンピューティングやソフトウェア開発に必要な教育を行うために、新たに2つの学士号を設置することが決まりました。本プロジェクトでは、ネットワークとソフトウェア開発分野の専門家に入って頂き、学士号プログラムの開発支援を行っています。

●USPNetのアップグレード

昨年来アジア開発銀行と協調し10年以上使用しているUSPNetの更新機材の供与する事が決まり、フィジー本校および対象となるリモートサイトに順次、設置作業を実施しています。これと同時に、このタイミングで新たにソロモン諸島・トンガなどを中心に新たに9箇所の受信拠点を整備することにより、都市部から周辺のコミュニティーに対する情報提供を行いデジタルデバイドの解消に寄与していきます。

今後の計画

2011年2月で本プロジェクトは2年目に入りました。カリキュラム・アドバイザー、ソフトウェア工学、衛星通信、ITIL、ネットワーク監視、インキュベーション、遠隔教育教授法、モバイル技術等の専門家派遣を予定しています。

一方、Japan-Pacific ICTセンターの運用が順次進んでいて、インキュベーション活動、複数の地域国際機関が間もなく入居し彼らと連携した活動、ICT関連のイベント、国際会議の開催など具体的活動を通じ体制確立を行っていきます。

2011年3月 福島和良

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